弊社キャッチアップはwebシステムの会社です。まだまだそれほど大きな会社ではないですが、それでも14年ほど続いていまして、数百件のwebシステム開発を行ってきました。
当方営業寄りのディレクターですので、相談を受けるとまず「ヒアリングさせてください」とお客様に言うのですが、この「ヒアリング」とは何がしたいのかをご説明します。
1. ヒアリングは要望を聞くだけじゃない
ヒアリングさせてくださいというと、口頭でバーっと仕様らしきものを並べて「じゃあこの内容で見積もってね」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、実はこれ、少し困ってしまうケースもあります。仕様というのはシステム的に矛盾が無いか、足りない機能が無いかなどを冷静に整理しないとまとまりません。なのでよっぽどシンプルな仕様である場合を除けば、だいたいは要望や想定などをドキュメント化して整理しないと、あとから何かしら問題がでてしまいます。
「そもそもwebシステムで解決する問題なの?」という視点でも相談内容を確認していますので、単純に「言われたままつくってくれたらいいよ」では収まらないケースもあります。
ヒアリングは、案件を進める上で開発会社とお客様が同じ視点でゴールを目指すための第一歩です。前提や目標を共有する場、と考えていただけると嬉しいです。
2. よくあるご質問に、すぐ答えられない理由
ヒアリングでは、もちろん仕様や要望、ご依頼の背景も伺いますが、何よりお客様が気になるのは、「納期は?」「費用はどれくらい?」「想定通りにできるの?」といった点だと思います。特にお急ぎのお客様の場合、初回のヒアリングでこうしたご質問をいただくことが多いです。この場合、ざっくりとした想定でお伝えすることもあります。ただし、ほとんどの場合で、お客様のご要望にプラスして何らかの対応が必要になると考えて、少しバッファを持たせて回答しています。
「バッファを取った答えしか出せないなら意味がない」と思われるかもしれません。ただ、正確な答えを出すには、「なぜそれをやりたいのか」「現状どんな課題があるのか」といった背景情報がどうしても必要になるのです。そもそもその課題はお客様が言う通りの仕様で解決するのか、別の手段はないかなどを考えていくためです。
3. 必要なのはwebシステムなのか
ヒアリングをしていると、「◯◯ができるようにしたい」「こういう画面を作ってほしい」といった具体的なご要望をいただくことがあります。しかし、その要望の背景を丁寧に伺っていくと、実際、「それはwebシステムではなく、業務フローを見直すことで解決するのでは?」という結論にたどり着くこともあります。
もちろん、webシステムが有効な場面はたくさんあります。ただ、それを「目的」ではなく「手段」として捉えないと、本来の課題解決にならない場合もありますので、そこはぜひ意識いただければと思います。
ヒアリングでは、こうした「何が目的で、どこに困っていて、なぜその手段を選ぼうとしているのか?」という部分を、なるべく丁寧に共有してもらえるよう心がけています。
「開発側がそこまで聞くの?」と思われるかもしれません。でも、実はこうした部分がズレたまま進んでしまうと、完成後に『なんか思ってたのと違う…』となってしまうこともあるのです。
4. ヒアリングの次にやること
ヒアリングが終わったあと、私たちは内容を整理して簡単な機能・要件の構成資料を作るようにしています。これは、ヒアリングした内容をベースに「実現したいことは何か」「そのために必要な機能は何か」を整理するためのものです。ここで方向性のズレや機能の過不足、足りない前提は何かを確認してから、ようやく詳細な見積やスケジュールの話に入っていきます。
ご希望によっては、お客様も巻き込んで要件定義フェーズを設けるよう打診したり、段階的に機能開発を分けて進めたり、まずはプロトタイプを作ってみることをご提案する場合もあります。こうしたやりとりを経て、ようやく「プロジェクトがスタートできる状態」になります。
最初のヒアリングは、そのスタート地点をしっかり整えるための、大切な準備です。お客様と一緒に最適な形を探る、その第一歩だと私たちは考えています。
5. まとめ。まずは、お話しませんか?
「ヒアリング」がどういう役割を持つ工程なのかご理解いただけましたでしょうか。かんたんにお話を伺うだけ……にみえるかもですが、実はけっこう大事な工程です。納品後にお互いが納得できる状況をつくるためにもまずはお話しましょう。
Webシステム開発を相談する前段階の壁打ち相手も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
営業メインのディレクター川俣でした。