残るナレッジを再利用する仕組みを考える
キャッチアップ社内では、毎週水曜、日頃から各メンバーが様々なテーマを持ち寄って勉強会を開催しています。
技術のこと、運用のこと、ツールの使い方、社内ルールまで、本当に幅広い学びが集まっています。
その場にいると「なるほど!」「知らなかった!」「ちょっとやってみようかな」と思え、とても学びのある良い時間となっています。
しかしながら、「せっかくその日の学びがあるのに、その場だけで消化されてしまっているのは少し惜しいかもしれない」と感じました。
すでに「回っている」社内勉強会の運用
改めて、弊社の勉強会の仕組みを振り返ってみました。
- 毎週水曜に定例で開催している
- 発表したい人は予定表に自分で記入している
- 発表資料は社内共有ドライブの決まった場所に保存している
- 過去資料は探そうと思えば普通に探せる状態にある
これらから、現状は「共有されてない」「探せない」「情報が散乱している」といったカオス状態ではなく、運用としてはすでに整っている、と言えそうです。
この手のありがちな以下の課題はクリアできているのではないでしょうか。
- 参加できなかった人は内容が追えない
- スライドはあるけど後から見つけにくい
- 内容が社内のどこにも蓄積されない
ぱっと思いつくこととしては、スライドだけでは背景や補足が伝わりづらい、あとは空気感とかでしょうけど、こればっかりはどうしようもないかな、ってところです。
では、いったい何が気になるのかっていうと、その先の「活用」までいけてないんじゃないか、というところです。
せっかく各自が持ち寄った知識・内容が、実務まで十分に活かされていない、内容が再利用され、日々の業務に活かされている実感が持てるようになること。
こうした点を踏まえると、勉強会の内容をどうやったら「再利用して活用しやすい形」「自然と各自で取り入れやすい形」にする仕組みが必要ではないかと感じています。
どんな形にするかはまだまだこれからですが、まずはアイデアを整理してみようと思います。
なぜ「仕組み化」を考えるのか(Why)
勉強会で扱われている内容は、日々の業務に直結する「生きた知識」であることが多いです。
- 実際のトラブル対応で役立った知識
- 開発の現場で起きた課題の改善ポイント
- 便利ツールの使い方、紹介
- 日々の業務、運営の工夫
- AI・技術トレンドの最新情報
こういった内容が勉強会でシェアされているにもかかわらず、その価値が、参加した人の頭の中にしか残らないのは、やっぱり惜しいかな、といったところです。
そしてもうひとつ。
日々の業務の忙しさの中で、「過去に扱った学びを思い出して活かす」仕組みが弱い状態なんじゃないか、ということにも気づきました。
知識の再利用がなされない状態だと
- 過去に誰かが調べた内容を、別の人がまたイチから調べる
- 同じような課題に、毎回ゼロから向き合うことになりがち
- チーム内で知識の偏りが生まれることに繋がる
- ナレッジの共有が属人的になる
こういった「もったいない積み重ね」がどうしても生まれてしまいます。
だからこそ、勉強会の内容を「知識」として使いまわせる形に整えることそのものが、価値の高い取り組みになるんじゃないかと思ってます。
どうやって「仕組み」として整えるのか(What)
仕組み化と言っても、最初から大きなものを作るつもりはなくって、必要なのは「実務で活かしやすいつくり」だと思っています。
例えば、こんなアプローチを考えてみました。
■ テーマごとに勉強会を整理する
どんなテーマの回だったかを把握できるように分類することで、必要な知識にすぐアクセスできるようになる。。。かもしれない
■ スライドだけでなく、補足・背景・意図を残す
スライドはどうしても“発表する前提”で作られるものだから、読み返したときに「ここは説明ないと伝わらないな」という部分が出てきます。
そこをテキストで補うことで、資料自体の価値を高められる。。。かもしれない
■ 実務への接続ポイントを残す
「この知識はどんな場面で役に立つのか?」「どんな課題が解決できるのか?」
こういった「利用シーン」があると、再利用しやすくなる。。。かもしれない
■ 過去の勉強会との関連を紐づける
テーマが違っても、背景にある考え方や技術がつながっている場合があるので、そうした関連付けができるものを用意する
大事なのは「事実ベース」であること
ここで大事なのは「事実ベース」で整えること、です。
「こうしたほうが良いかもしれない」という推測だけで動くのは単なる思いつきになりがちで、実際に困っている人・必要としている人の声(事実ベース)を反映させることが重要です。
たとえば、過去の勉強会や日々の業務の中で、次のような声が出ていたら、大事にしたいところになります。
- 勉強会の内容は良いが、後から実務にどう落とし込んだら良いか分からない
- 資料はあるけれど再利用しにくい
- 勉強会で出た知識を、別メンバーが別案件で活かせるようにしたい
- 同じテーマが何度か出てきているが、テーマごとに整理された蓄積がないのが惜しい
- 新しく入った人が、過去の学びにアクセスしづらい
こうした事実ベースのニーズがあると、仕組み化する意味が生まれそうです。
仕組み化は「可能性のため」ではなく、「必要としている人が確かに存在する」からこそ価値がある、ということです。
例としての再利用性のある勉強会
私がこれまで発表してきた中には、実務でそのまま使える「再利用性のある回」があります。
- AIを活用した開発期間の見積り
- アラートが来たら何を見ているのか(死活監視)
- もじもじ捜索するなら Search Replace DB
- ログのレベルと種類を学ぼう
- 誰でも使えるドキュメント作成の基本
これらは、勉強会に参加していなくても、再利用できる形に整えれば、実務に役立つナレッジとして活かせるものです。
もちろん、他のメンバーによる発表資料にもそうしたものはあります。
自身の場合、勉強会でのコンセプトとして「できるだけ継続利用できるきっかけづくり」を持っているので、そうした内容に偏りがちなだけです。
今後どのように進めていくか(How)
まだ「これでいこうかな」という段階ではなくって、小さくできそうなことから始めて、どんな形が一番使いやすいかを考えていこうかな、と思っています。
こういったサイクルは、負担なく続けられる仕組みにしないと続けられませんし。
今のイメージはこんな感じで、最終的に実務にまで落とし込めるサイクルができればなあ、といったところです。
「社内勉強会 → ナレッジ → 実務」
- 社内勉強会で発表した内容を
- ナレッジとして、業務上通過する通過点に配置することで
- 実務として利用する流れに乗る
こうした積み上げが、自然につながっていく状態を目指したいもののひとつです。
現状できている近しいサイクル
おわりに
社内勉強会は、キャッチアップの文化のひとつであり、チームの知識を広げる大切な活動です。
その良い文化を未来につなげるためには、学びが流れて終わるのではなく、「蓄積され、使いまわせる状態」を作ることが必要だと感じています。
どんな形が一番良い仕組みになるのかは、まだまだこれから考えていく段階ですが、まずはその第一歩として、考えていることをまとめてみました。
学びが「流れるもの」だけではなく「積み上がるもの」になり、勉強会の学びが実務により活かされ、チーム全体の力につながるよう、少しずつ整えていきたいと思います。