ChatGPTでサイト管理を革新!baserCMS向けAIプラグイン「CuMcp」を開発

AI×国産CMSで実現する新しいサイト更新体験

近年、ChatGPTClaudeなどの生成AIを業務に活用する動きが加速しています。中でも注目なのが、 AIモデルと外部システムを連携させる共通規格「MCP(Model Context Protocol)」 の登場です。

MCPは2024年11月にAnthropic社が公開し、2025年3月にOpenAIも採用を表明した新しいオープンプロトコルで、ChatGPTやClaudeといったAIエージェントがデータソースやツールに統一手順でアクセスできる 「AI用USB-C」 とも称されています。これにより、AIは「チャット中心のツール」という従来の枠を超え、社内システムやWebサービスを自在に操作できるプラットフォームへと進化しつつあります。

こうした流れの中、国産オープンソースCMS「baserCMS」 でもAIとの融合を実現することができました。2025年9月26日に、ChatGPTやClaudeと連携してbaserCMSサイトを操作できるプラグイン 「CuMcp」 を公開。これにより、サイトのコンテンツ更新作業をAIエージェントに日本語で指示できるようになり、企業のWeb担当者にとって画期的な体験を生み出しました。

この記事では、baserCMS向けAIプラグイン「CuMcp」の概要と導入メリット、具体的な使い方について紹介します。
国産CMS × 最先端AI の融合によって、どのようにサイト管理が変わるのか。ぜひご一読ください。

 

baserCMSとは?

まずは、baserCMSについて簡単におさらいしていきましょう。
 baserCMS(ベーサーシーエムエス) は、日本で開発されたオープンソースのCMSです。PHPのフレームワークCakePHP上で動作し、「ウェブサイト制作プラットフォームとして最適な国産CMS」をコンセプトに2009年より開発が続けられてきました。MITライセンスで公開されており、ブログや固定ページ、メールフォームなど企業サイトに必要な機能を標準搭載しています。

baserCMSの特徴は、直感的な管理画面や日本語での充実したドキュメント、国内ユーザーコミュニティの存在。日本企業のニーズに寄り添ったCMSとして着実に普及してきました。

そんなbaserCMSが今回、最新の生成AI技術と連携することで新しい運用体験が可能になりました。

参考)baserCMSオフィシャルサイト

 

ChatGPT・Claudeとつなぐ「MCP」とは?

MCP (Model Context Protocol) は、ChatGPTやClaudeなどAIモデルと外部アプリを接続するためのプロコトルです。MCP準拠の「コネクタ」を用意すれば、AIから統一された方法で外部サービスにアクセス可能になります。まさにPCにおけるUSBポートのように、AIとツールを繋ぐ共通インターフェースです。

OpenAIは2025年9月11日にChatGPT向けのカスタムコネクタをさらに拡張する、開発者モードの提供開始しており、ChatGPTの設定画面からMCP対応の外部サービスを接続できるようになりました。AnthropicのClaudeも同様にMCPコネクタ経由で外部サービスに接続できる機能を提供しています。
これにより、AIエージェントをノーコードで組み込むことが実現できるようになりました。

参考)Model Context Protocol

 

CuMcpプラグインとは?

「CuMcp」は、MCPに対応したbaserCMS用のオープンソースプラグインです。弊社で開発し公開したこのプラグインをbaserCMSを利用したサイトに導入することで、ChatGPTやClaudeからサイトを直接操作できるMCPサーバー機能が追加されます。

CuMcpでは、baserCMSにプラグインとして組み込むだけでMCPサーバーの役割を果たしてくれます。面倒な設定も必要もなく、baserCMSの管理画面から有効化するだけで準備完了です。

具体的にCuMcpプラグインが提供する機能は、MCPの規格に則ってbaserCMSの管理操作を内部的にツール群として公開することです。例えば以下のようなツールを提供しています。

  • 記事作成 – 新しいブログ記事や固定ページを作成し、タイトルや本文を登録する
  • 記事更新 – 既存ページの内容を書き換える
  • 記事取得 – 指定したページのコンテンツをAI側で読み込み、分析・要約したりする
  • 記事一覧 – サイト内のページや記事の一覧を取得する

これらのツールをChatGPTで利用できることで、ユーザーは 「ChatGPTにサイト更新をお願いする」 という操作が可能となります。
たとえばChatGPTとの対話で「新製品のお知らせページを作成して」と指示すれば、AIが適切な文章を生成しつつCuMcpの記事作成ツールを呼び出してbaserCMS上に新規ページを公開するといったことが可能になります。自然な対話を介してサイトを操作できるという、これまでにないUXを実現するのがCuMcpプラグインです。

その他にも、baserCMSのカスタムコンテンツの操作も可能となっており、「家具紹介のコンテンツをカスタムコンテンツで作成して」と依頼すれば、家具に関する属性情報をカスタムフィールドとして作成し、そのフィールドを使ったカスタムテーブルを作成し、そのテーブルを使ったカスタムコンテンツを作成するといった事が自動でできます。

もちろん作ったカスタムコンテンツにエントリーを登録するということも自然言語で指示することができます。

参考)CuMcp - GitHub

 

導入メリット

企業Web担当者の視点で、CuMcpを導入するメリットは、ノーコードで実現する業務効率化となります。
特に更新頻度の高い「お知らせ記事」や「キャンペーン情報」に強みを発揮します。

  • 文章生成から公開まで一気通貫 – ChatGPTの優れた文章生成能力を活かし、コンテンツ作成からサイト公開までをシームレスに行えます。アイデアを伝えるだけで記事草稿ができ、そのまま公開まで完結できます。
  • ノーコード・操作簡単 – baserCMSの管理画面操作やHTML知識が不慣れでも大丈夫です。対話形式で「〇〇して」と頼むだけで、裏側ではプラグインが必要な処理を実行します。
  • 作業時間の大幅短縮 – ログイン→該当ページを検索→編集→反映…といった従来の手順を短縮できます。
  • ヒューマンエラーの低減 – AIが文章校正やデータ入力を自動化することで、手作業ゆえの誤字脱字・リンクミスといったヒューマンエラーも減らせます。更新漏れのチェックをAIに尋ねることも可能です。

 

ChatGPTへの導入方法

具体的にCuMcpプラグインを導入し活用する手順の概要を説明します。

※ChatGPTで利用するには、「開発者モード」の利用が必要となりますが、2025年9月25日現在、有料プランでしか開発者モードは提供されておりません。また、残念ながら、現時点では、企業向けの Business プランでは利用できません。
(今後利用できるようになることを祈ります)

1. プラグインの入手とインストール

CuMcpは、baserCMSの最新版5.1.10対応のプラグインとして提供されています。
(残念ながらそれ以下のバージョンでは正常に動作しません)

以下の方法で入手・インストールが可能です。

  • baserCMS「baserマーケット」からダウンロードしてインストール
  • Composer利用者は composer require ecatchup/cu-mcp コマンドでパッケージを追加することも可能です

プラグインを配置後、管理画面よりプラグインを有効化します。

2. MCPサーバーの起動とMCPサーバーのURL取得

baserCMSの管理画面にて、「設定 → MCPサーバー管理」に移動し、サーバー操作欄の「起動」ボタンをクリックします。これでMCPサーバーが起動します。

その後、AIエージェント設定用URLの「コピー」ボタンをクリックします。

 

3. ChatGPTでコネクタを追加

次に、ChatGPT側の設定です。ChatGPT Proのアカウントをご用意いただき、設定画面から 「コネクタ → 開発者モード」 をオンにしてください。

CuMcpは外部接続時にOAuth認証を採用しています。ChatGPTやClaudeからのアクセスには、この認証を経由して安全に接続する仕組みです。これによりセキュリティを確保しつつ、ユーザーはスムーズに連携可能となります。

 

開発者モードにすると、ChatGPTのチャット画面にて、開発者モードと表示され、入力欄の縁が赤色に変わります。

 

開発者モードを有効化後、コネクタの「作成する」から以下の情報を入力してCuMcpサーバーを登録します。

  • 名前: 任意の名前(例:「baserCMS」など分かりやすい名前)
  • 説明: 任意の説明
  • MCPサーバーのURL: 先ほどコピーしたAIエージェント設定用URL
  • 認証: OAuth
  • "わたしはこのアプリケーションを信頼します"にチェック

 

その後、「作成する」をクリックすると、設置しているbaserCMSの画面に移動するので、「許可」をクリックします。

baserCMSにログインしていない場合は、ログインを求められますので、ログインの上、許可をクリックします。

これで設定は完了です。

 

ChatGPTで記事を登録する

ChatGPTでは、事前に、チャット欄にて、開発者モードに設定が必要となります。

「+」ボタンをクリックし、「さらに表示」をクリックし「開発者モード」を選択。その後、「情報源を追加する」ボタンをクリックし、先ほど登録したコネクタを選択します。

 

「baserCMSを使って、ブログ記事『AIの今後について』という記事を非公開で登録して」と伝えれば、たたき台となる文章を考えてくれた上で、非公開で記事がbaserCMSに登録されます。

登録前には、確認メッセージがでますので、問題なければ、「確認する」ボタンをクリックします。

もちろん、文章の骨子などを指示に与えれば、その骨子にそった文章を作成してくれます。

 

国産CMSと最新AIの融合を体験しよう

baserCMS向けAIプラグイン「CuMcp」は、様々なWebサイト運用における画期的な効率化と新体験をもたらすソリューションだと考えています。国産CMSとして育ってきたbaserCMSに、ChatGPTなど世界最先端のAI技術を手軽に取り込めるようにすることで、国内企業のDX推進に貢献できれば幸いです。

今回は、最新AIと国産CMSの融合によって生まれる新しいサイト運営の形をご紹介しました。キャッチアップはbaserCMSの開発元として、今後も最新技術を積極的に取り入れたプラグインやテーマの開発を続けていきます。

baserCMS × AI が、皆様のコンテンツ発信をこれまで以上にスピーディーでスマートなものにしてくれるはずです。ぜひダウンロードして、その進化を体感してみてください!

 

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AUTHOR

江頭 竜二

江頭 竜二 代表取締役

Webシステム(CMS系)を中心とした提案、開発に携る。
ユーザビリティ・運営を意識した開発を心がけている。

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