社内勉強会の学びを実務に活かすには?「スキル化」という新しいアプローチ

どうも。キャッチアップの渕上です。こんにちはこんにちは。

以前、社内勉強会について、「流れるもの」ではなく「積み上がるもの」にできないか、ということを考えて記事にしました。
■ 社内勉強会を「流れるもの」から「積み上がるもの」へ
その後、あらためて考えるようになったのは、では実際に、何をどういう形にすれば再利用しやすくなるのか、ということです。

資料を残すこと自体は大事です。ただ、残っていることと、実際に使われることは、必ずしも同じではありません。
その間をつなぐ工夫が必要なのではないか。
そんなことを考える中で、いま可能性を感じているのが「スキル化」です。

ここでいう「スキル化」とは、勉強会や実務で得た知見を、あとから繰り返し使える形に整理し、必要な場面で呼び出せるようにすることです。
単に資料を保管するのではなく、どんな場面で使うのか、何を判断するための知識なのか、どう使うと役立つのか、注意点は何か、といった形で、使う前提で整えていくイメージです。

資料が残るだけでは、使われるとは限らない

勉強会の資料は、それ自体に価値があります。
参加できなかった人があとから追えますし、過去にどんなテーマが扱われたかもわかります。
ただ、そこから先に少し壁があります。

たとえば、資料が残っていても、「いまの自分の作業に、どの内容が役立つのか」がすぐには結びつかないことがあります。
あるいは、読み返せば役立つはずなのに、忙しい日々の中でその存在を思い出せないこともあります。

つまり、知識が残っているだけでは足りなくて、必要な場面で取り出しやすいこと、実務とつながる形になっていること、そこまで含めて考えたほうが良さそうだと思いました。

そこで考え始めた「スキル化」

そこで今、可能性を感じているのが「スキル化」です。

スキル化しようとしているのは、勉強会で扱った知識のうち、実務の中で繰り返し参照されやすいものです。
たとえば、判断の観点、作業の入口、注意点、手順の標準化などは、聞いて終わりではなく、あとから何度も使う可能性があります。
こうした知見を、資料のまま置いておくのではなく、必要な場面で呼び出せる単位に整理することで、再利用しやすくなるのではないかと考えています。

また、この取り組み自体も、AIを活用しながら進めています。
知見の整理や構造化、たたき台づくりの部分でAIを組み合わせることで、ゼロから毎回組み立てる負担を減らしつつ、再利用可能な形に寄せていけるのではないか、と考えています。

ただし、AI活用そのものを主役にしたいわけではなく、あくまで「学びを再利用しやすい形に整える」ための補助として捉えています。
そして、この取り組みを進める中で、AI活用における skills の価値も強く感じるようになってきました。

skills は、AIが必要だと判断したときに利用してくれるための、再利用可能な知識や手順のまとまりです。
これは単に「AIに知識を教える」という話ではなく、繰り返し使いたい判断基準や観点、作業の進め方を、呼び出せる形で備えておくということでもあります。

人も毎回すべてを記憶して安定して取り出せるわけではありませんし、AIもその場限りの指示だけでは、いつも同じように扱えるとは限りません。
だからこそ、skills として整理しておくことに意味があります。
あらかじめ skills 化しておくことで、毎回人が思い出して説明し直すことに頼りすぎず、必要な場面でAIが使える形に近づけることができます。

つまり、skills は、知見を再利用しやすくするだけでなく、記憶に頼らない運用を支えるための、かなり実践的な仕組みになりうると感じています。

実際にどんなスキルを考えているのか

まだ試行中ではありますが、たとえば次のようなスキルを対象にしています。

  • [コミット・変更管理] コミット前ガード(commit_guard)ステージ済みファイルに、コミットすべきでないものが混ざっていないかを検査する
  • [コードレビュー] コードレビュー判断(review-code-reviewing)差分を見て、指摘内容・重大度・良い点を判断する
  • [要件・計画の前処理] 要件固め:確認事項の抽出(requirements-challenger)実装に進める粒度かを確認する。仕様決定や実装提案までは行わない
  • [DB・ドキュメント] DB スキーマドキュメント生成(dbdoc-generate)DB スキーマドキュメントを生成・更新する手順の入口
  • [baserCMS] baserCMS テーマ開発(basercms-theme-development)テーマの新規作成・改修の手順を標準化する。4系 / 5系 はルールファイルで切り替える

こうして見ると、スキル化に向いているのは「説明として知っておくと便利」なものだけではなく、「実際の作業で判断や行動につながる」知識なのだと思います。

実際にやってみていること

まだ試行中ではありますが、スキル化するにあたっては、まず「その業務や知見に、スキル化する価値があるか」「あとから繰り返し使える再利用性があるか」を見るようにしています。

どんな内容でもスキル化すれば良い、というわけではありません。
その場限りで終わるものよりも、別の案件や別の場面でも使えるもの、判断の観点として何度も参照できるもの、手順や注意点として積み上げていけるもののほうが、スキル化する意味が大きいと感じています。

また、スキル化を考える中で改めて感じているのは、業務を人の記憶や経験だけに頼らず、必要な観点や手順を外に出していくことの大切さです。
毎回その場で思い出して説明するのではなく、確認事項、判断基準、手順、注意点をあらかじめ言語化しておくことで、残した知見の再利用性は高まり、実務の流れも少しずつスムーズにしやすくなります。
今回のスキル化も、そうした延長線上にある取り組みだと感じています。

そして、もうひとつ大事だと感じているのが、「業務を言語化すること」です。
なんとなくできていること、経験で判断していること、頭の中ではわかっていることも、いざ再利用できる形にしようとすると、言葉にできていない部分が意外と多くあります。
そのため、スキル化では、業務をそのまま保存するのではなく、「何を目的にしているのか」「どこで使うのか」「どう判断するのか」「どこに注意が必要なのか」といった形で、一度言語化し直すことが重要になります。

この言語化ができてはじめて、「そういえば以前の勉強会で話していた」で終わらず、「この場面ならこの知識が使える」という形で取り出しやすくなるのだと思っています。

まだ試行中だからこそ見えている難しさ

もちろん、やってみると簡単なことばかりではありません。
たとえば、どこまで細かく分けるのが良いのか。細かくしすぎると管理が大変になり、逆に大きすぎると再利用しづらくなります。

また、一度作って終わりではなく、更新し続けられる形にしないと意味がありません。
さらに、特定の人だけが整備できる状態だと、それはそれで属人的になってしまいます。

だからこそ、スキル化は完成した答えというより、再利用しやすくする方法のひとつとして、今は可能性を感じている段階です。
この段階だからこそ、実際に試しながら、どんな単位なら使いやすいのか、どこまで整えると負担なく続けられるのかを見極めていきたいと思っています。

おわりに

社内勉強会の価値は、その場で学びが生まれることだけではなく、あとから何度も使える形にできるかどうかにもあると思っています。

今は、その積み上げ方のひとつとして、「スキル化」に可能性を感じています。
まだ試行錯誤の途中ではありますが、勉強会の学びを資料保存だけで終わらせず、実務の中で使われる知識へとつなげていくための形を少しずつ整えていきたいと思います。

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AUTHOR

渕上 将和

渕上 将和 アドバイザリエンジニア

とにかく、Webサービスを試す事が大好きなので、これからもCMSを用いたWebシステムを作り続ける姿勢は変わらないと思います。

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