はじめに
毎月、キャッチアップの問い合わせフォームにはだいたい100件を越えるメールが届きます。
残念ながらその内の99%が営業メールとなっています。
具体的に会社の事業や内容に言及し、検討や議論に発展するものならばまだいいですが、ほぼ全てが「送ることが目的」の営業メールなのが現状です。
関連性の低いサイトへのリンク掲載依頼はお断りしている文言があるにも拘らず同種のメールは次々と着弾しますし、内容的に全く無関係なものも数多く届けられます。
1件1件のチェックにかける時間はさほどではありませんが、受信からの内容確認/対応可否の決定の流れを毎月100回程度は無為に行うのは失う工数が大きいです。
なにより大量のスパムにより「通常のお問い合わせ」を見逃す可能性があることは機会損失としていただけません。
これらの対策を検討し、「営業メールを有料で受け付ける」ことを思いつきました。
よくある営業メール
自動配信に組み込まれているケース
お手数ですが今後のご案内が不要の場合は下記をクリックしてください
※クリックをするとすぐに案内停止となります。
https://example.com/hogehoge
停止タイミングによっては案内が数通届く場合がございますがその後は一切届かなくなります。
申し訳ございませんが誤った注文・申し込み等はキャンセルとしていただきますようお願いいたします。
自動配信に組み込まれているケース
配信停止をご希望される方は
下記の入力フォームにURLを入力していただければと思います
https://example.com/hogehoge
日程調整を強制してくるケース
上記に於いて何かお力になれればと考えておりまして、もしご興味がございましたら、以下のURLにてご挨拶の時間を選択してくださいますと幸いでございます。
御社情報をご記入いただく際は、電話番号もご記入いただけますと幸いです。
https://example.com/hogehoge
日程調整を強制してくるケース
まずは情報収集ベースでも問題ございません。
ご関心がございましたら、下記よりご都合の良い日時をご選択ください。
▼日程調整はこちら
https://example.com/hogehoge
何卒よろしくお願いいたします。
管理番号付きの乱れ撃ちメール
もしお返事いただける際は当社管理番号を削除せずご返信願います。
管理番号: hogehoge-hoge-1111-hoge-11hogehoge
大枠の検討
最初に検討した大枠は以下の形式です。
- 営業メールを処理する工数を社内ではなく送信者の負担とすること
- 費用負担については規約で明記し、送信者の同意を必ず得ること
- これにより無作為な営業メールの受信数を削減すること
- 通常の問い合わせユーザーを萎縮させないこと
大目的としては営業メールの削減であり、譲れないものとしては通常の問い合わせユーザーへ悪影響を与えないことです。
このことからフォームを分離することを決定しました。
- 営業メールを受け付ける専用フォームを作成
- フォーム内には利用規約と費用を明記
- チェックボックスによる意思確認
- 通常の問い合わせはもう一つのフォームを利用する旨を案内
- 通常の問い合わせ
- これまで通りの運用
- 営業メールは専用フォームからのみの受付を案内
根拠と先行事例の確認
大枠を固めたことで、次は根拠の確認に入りました。
ちょうどピッタリな先行事例があり、今回の件は大きく参考にさせていただいています。
営業メール問題への民事的アプローチ: 受信側の実費を送信側に転嫁する構造設計
(一般社団法人 社会構想デザイン機構: https://isvd.or.jp/columns/sales-email-policy-civil-approach )
特に頷いたのが「送信/受信コスト非対称の問題」の箇所です。
受信側のみがコストを負担し続け、送信者側はノーコストでメールを送信し続けられる不公平感が言語化されていました。
さらに素晴らしいことに、上記の解説と併せてその仕組をオープンソースとして公開されています。
サイトで利用するためのコードから根拠となる事項まで整理されており、大変参考にさせていただきました。
sales-email-policy
(github: https://github.com/correlate000/sales-email-policy)
損害とするかサービスとするか
参考事例なども踏まえ、キャッチアップのサイトとしてはどのように取り扱うかを顧問弁護士の方とも相談しながら固めました。
そこで検討したのが「こちらの工数を損なう損害」とするか「こちらの工数を利用するサービス」とするかです。
決定としては「こちらの工数を利用するサービス」としての打ち出しです。
前述の通常のお問い合わせをされたい方を萎縮するような内容にすることは避けたく、「料金を払ってでも営業メールを送りたい」という意思を受け付けることをベースにしました。
とはいえ「通常の問い合わせフォームに営業メールを送りつける」ケースも当然想定できますので、こちらは利用規約違反としての「損害」と見なすようにしました。
着地点としては「有料サービス」と「違反時の損害賠償」としていいとこ取りをした塩梅となります。
実際に作成したフォームは次のものになります。
営業メール受付フォーム
通常のお問い合わせフォーム
どこまでやるか
以降もこの2フォーム形式とするかは未定です。
今回の展開は実験的要素が強く、具体的な効果というのはやってみないとわからない状況です。
こちらとしては「営業メールが減少し、通常問い合わせはこれまで通り」という結果に少しでも近づければ成功となります。
だので、ある程度のデータが溜まるまでは継続をしていきます。
そして実験結果としてbefore / after の状況や、実践したうえでの気付きなどはレポートとして再掲したいと思います。